番組要約

【カンブリア宮殿・要約】過疎の町で稼ぐ、奇跡のヨーグルト復活の物語

2023年8月10日放送
カンブリア宮殿「倒産の危機を乗り越えた 第三セクター復活の舞台裏!」より

メジャーリーガーの大谷翔平選手が大絶賛する好物があります。

それが、今回の主役の岩泉ヨーグルトです。
岩泉ヨーグルト:https://www.iwaizumilk.com/i/y03

袋に入った商品で、スーパーマーケットでもこのまま販売されています。
1キロ870円で、もちもちとした食感でまろやかなことが特徴です。ヨーグルトというより、スイーツを感じさせる高級感があります。

ここ数年で販売数は2倍以上で、ホテルニューオータニの料理長も絶賛し、「新・最強の朝食」というビュッフェに採用したほどです。
新・最強の朝食:https://www.newotani.co.jp/tokyo/restaurant/satsuki/saikyou/

そんな岩泉ヨーグルトは、岩手県岩泉町の企業「岩泉ホールディングス」の商品です。
岩泉ホールディングス:https://www.iwaizumilk.com/

岩泉町は、日本三大鍾乳洞の1つ「龍泉洞」が観光地としてありますが、山林に囲まれた人口8500人の町になります。
龍泉洞:http://www.iwate-ryusendo.jp/

「そんな過疎地域にある企業で絶品が続々生まれる㊙戦略とは?」

第三セクターとは

岩泉ホールディングスは、行政と民間が共同で出資している第三セクターと呼ばれている法人です。

小規模の酪農が多い岩泉では、2000年には8割減になり、2004年には第三セクターとして岩泉ホールディングスの前身となる「岩泉乳業」が設立されました。

第三セクターは、全国で6000社以上ありますが、4割は赤字経営になっているのが現状です。

その中でも成功した要因として、山下社長は「経営に参加するものの、現場にノータッチである町の考え方によって、スピード感をもって動くことができる。」と語っています。

岩泉ホールディングスの戦略

「人が少ないから、町の外に売っていく。ものを売るだけでなく、町の魅力も作る。」
岩泉社長は、既にできているものを参考にして、できればそれを越えて、さらに素晴らしいものを作っていきたいと考えています。


・ViTOと提携
https://vito.iwaizumilk.co.jp/
ViTO:自社焙煎のスペシャリティコーヒーとジェラートを楽しめるカフェを展開
ViTOのイタリアンジェラートを岩泉の牛乳やフルーツを使って販売したところ、道の駅に年間28万人のお客さんを呼び込んでいます。

・イタリア食堂「築地のら」
http://www.tsukiji-nora.com/ 
完成に6時間かける1日20個限定の濃厚プリンのレシピを教わり、岩泉産の牛乳を使って岩泉バージョンでつくることを進めています。
 
・メゾンカイザー コレド日本橋店
https://maisonkayser.jp/brands/bakery/23/
発酵20時間のフランスパンを販売しているパン屋さんにパンとヨーグルトを合わせて焼くのはどうかと売り込んだところ、おいしいからパンに練り込むのはもったいない。と評価を受けました。

山下社長の経歴

山下氏は、1956年岩泉町に生まれ、岩泉を衰退させたくない思いで、就職先には地元の農協を選びました。

山下氏は48歳で岩泉ホールディングスに転職しました。当時は、主力商品として高級牛乳を製造・販売していましたが、1年目から赤字で、5年目には累計赤字が2億8000万となり、社員の3分の1が退社し、相次ぐ社長交代がありました。

その中で、工場長を務めていた山下氏に次期社長の白羽の矢が立ちました。社長になる条件として、会社の2億円の借金の連帯保証人にならなければなりませんでした。しかし、悩みに悩んだ結果、岩泉ホールディングスが岩泉の1つの希望であり、ここで社長にならないのは男としてどうかと考え、社長に就任しました。

就任当時から、毎年5000万、多くて8000万の赤字を抱えており、さらに、第三セクターということで税金を使っていることから、周囲の人から厳しい言葉をかけられることもありました。ただ、山下社長は、社長になった時から腹が決まっており、「今に見てろ」と考えていました。

逆転物語 

2009年、山下社長は、細々と作っていたヨーグルトを主力商品にしました。そんな中、あるホテルの朝食ビュッフェにあった大きなボウルに入ったヨーグルトについて、ホテルの人に聞いてみると、市販のヨーグルトをたくさん購入してそれを一つずつ開封してボウルに出しているとのことでした。そこで、山下社長は楽にボウルに出せるように業務用ヨーグルトの開発を進めました。そして、アルミの袋でつくったところ、同じ材料でももちもちとした食感が生まれたことを発見しました。

そこから、岩泉ヨーグルトがホテルで次々と採用し、地域の人からもおいしいと評判になり、遠くの親戚や友人に送ってくれたことから口コミが広がり、スーパーにも置かれるようになりました。そして、社長就任3年後に黒字化し、岩泉一の雇用を誇る会社に成長しました。

岩泉ヨーグルトのこだわり 

①80度で20分の低温殺菌
②独自配合した特別な乳酸菌 
③日本初!アルミの袋で生乳を発酵 
→「小さなヨーグルト工場」低温で20時間かけてパッケージの中で発酵。
温度を上げたり固形化させる素材を入れることで発酵時間を短くすることはできるが、素材を活かすために、待つことにこだわっている。

さらなる悲劇

黒字化から4年後、次は大災害が岩泉ホールディングスに襲い掛かりました。

2016年、台風10号による洪水で工場が水没し、工場は停止してしまいました。

被災後1ヶ月はどうしたらいいか分からなかった山下社長でしたが、来られる社員は毎日来て泥の撤去をしていたり、全国から1000通を越える応援の手紙があり、背中を押されました。そして、社員に対して「ヨーグルトは作れなくても給料は払い続ける。今のメンバーで再建しよう。」と伝えました。

台風の被害にあわなかった横浜に工場があり、別商品「龍泉洞の化粧水」を岩手県内の会社が買い取ってくれ、周りの支えがあり、再建することができました。

山下社長から学べること

「手間を惜しまずいいものを作る」
岩泉ホールディングスはジェラートやパンなど、色々なお店や商品とコラボすることでより良い商品を開発し、売上を上げいます。
しかし、これは素材となっている岩泉ホールディングスの牛乳やヨーグルト自体が美味しいから、美味しい商品につながっているのだと思います。
岩泉ヨーグルトは、他社ではやらない発酵時間が長くなる方法で作る工夫がなされています。
素材が良くなければ、他商品とコラボする戦略は成功しなかったでしょう。

村上龍「透明に近いブルー」
岩泉ホールディングスの牛乳の価格は大手の1.5倍。主力をヨーグルトにし、その牛乳を低温で長時間発酵することにこだわる。
そして、そのヨーグルトで3億円あった累積赤字を解消した。ただ、台風にも襲われたが、龍泉洞の水が会社を救った。
龍泉洞が岩泉を支えている。

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